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 このコラムを「万葉広場」と名付けました。
万葉集の名にあるように万葉とはよろずの言の葉を意味しています。 私たちが便利に使っている葉書にも葉の字が使われています。 戦国時代にタラヨウという木の葉の裏に文字を書き情報のやり取りをしたのが葉書の由来だそうです。
 「万葉広場」はいのちの電話の活動を推進している私たちが、日頃思っていること、 感じていること、心掛けていることなど、その一端を皆様に紹介する「言葉の広場」です。

コラム45 「ハッピー サバイバル」



 少ない年金で独居生活をすることになった。今まで捨てていた野菜くずは食べられる物 になり、一万円札には一人ひとりの血と汗が染み込んで、その人達の名前が書かれている ような気がするほどに大切な物のような気がする。貧乏をしないと物の大事さが分からな いとはこういうことなのか。
 限られたお金では、月々の公共料金を差し引くと一日に使える金額はほんの僅か。減ら せるのは光熱費と食費。僅かに通信費と交通費。
 光熱費をどう減らすか。冬に備えて、冬以外の季節に極力無駄を省く。冷房が必要な時 期は、日中家にいないこと。テレビは観ない。電気もこまめに消す。調理には電気・ガス の使用量を極力減らす工夫が大事。
 あとは食費をどう切り詰めていくか。「食べられる野草」という本を若い頃買っていた 。野草は新鮮な野菜だと思えばいい。しかし、いつも緊張を強いられる気持ちになる。
 そんな時、向かいにベトナム人の家族が引っ越してきた。我が家の庭のドクダミとヨモ ギを見て、ベトナムではドクダミジュースがオレンジジュースなどと並んで売っているし 、ヨモギは卵と一緒に炒めて食べる、と教えてくれた。日本は野菜が高いと言ってプラン ターに野菜を栽培している。車が無い我が家の駐車場を使って貰うことにしたら、色んな 野菜を植えたプランターが持ち込まれ、その中のじゃがいもは葉が育ってくると、柔らか いところを切って下茹でし、ニンニクと炒めるのだと言い、味見させてくれた。なかなか 美味。南瓜の花も葉も食べられると。成程、ベトナム人に倣えばいいのか。肩の力が抜け た。
   歩いて行ける距離に緑豊かな公園があり、少々の雨なら凌げる。図書館には知らないこ とだらけの本があって、まるで宇宙。自然の中で、好きなだけ本が読めて、何とかやって いけそうと思えたら、結構贅沢じゃないの。こんな時間が過ごせるなら、独居生活になっ たからって、先の事で心悩ますことは無い。案じても仕方がないのだから、今を楽しもう と思えるようになった。


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