「いのちの電話の役割と果たしてきたこと・今後の働き」 斎藤友紀雄氏
[2012 年 10 月 20 日相談員対象講演会より]
人間の心の危機にかかわる
皆様こんにちは。斎藤でございます。お招きをいただきまして感謝をしております。
さて今日は、「電話相談で自殺は防げるのか」という、やや挑戦的なテーマを掲げましたけれども、「防げる」という言葉自体がどうも断定的になります。 あえて言えば「防げる自殺もあるけれども、防ぐことのできない自殺もある」と言い換えたほうが現実的です。これはネット相談についてもそうですね。 さらに、あまり電話かネットかというような選択をすべきではなく、その人にふさわしいメディアがあるべきだと、こういうことをまず申し上げたいと思います。
私どもの「いのちの電話」というのは、自殺予防という大きな目標があります。欧米でもやはり自殺予防ということが電話相談の大きな役割です。 もちろん電話相談は多彩ですから、いろいろな目的を持った電話相談があります。ただ電話相談というのは,普通の面接の相談に比べると,人間の心の危機にかかわる、 つまり危機を援助する役割としての比重が高いということですね。70 年代はじめ、私は米国であらゆる電話相談機関を回りましたけれども、そのころは自殺予防だけでなく、 レイプや虐待などあらゆる電話相談活動が拡大していました。その後日本でも最初はいのちの電話、そして青少年のための電話相談が各地で増えてまいりました。 これはいずれも危機介入的な性格を持っております。その中で英国の「サマリタンズ」は国際 的には伝統的な電話相談の最も特徴的な在り方といいましょうか、 危機介入的な電話相談を代表する組織であるといえるかと思います。
今日は最初にちょっと明るいニュースを
自殺の問題というのは胸がふさがれる話ですから、今日は最初にちょっと明るいニュースをお伝えしようと思います。実は今年は、14年間3万人の大台を切らなかった日本の自殺が、確実に 3 万人を切るということが明らかになりました。
「警察庁自殺統計」と皆さん検索してごらんになると、膨大なデータをダウンロードすることができます。全部で 50 ページ近いです。 今、年間の完全な統計を入手できるのは平成 23 年 度です。この警察庁の自殺統計というのは年に1回あるのですがある年統計の公表が、 年が 明けて、遅い場合は7月を過ぎていたこともありました。これではいけないということになり、 最近では警察庁が力を入れて、毎月公表しています。 これは自殺が多発する状況に対応して、 統計的にもすぐ公表すべきということになったのです。内閣府の中に自殺対策会議というのが ありますが,そこで自殺統計をもっと詳しく、 すぐ出すべきだという意見が数年前にありまして、最近は詳しい統計がすぐ出てくるようになりました。ちなみにこの自殺統計報告書は、警 察庁が1978年から出しているのですが、 以前はわずか10数ページでした。今は 50ページです。しかも自殺統計を作る警察庁の部局、皆さんご存知でしょうか、私が 10 年くらい前 まで毎年1回、そこに統計をもらいにゆきましたが、 その部署は、何と「防犯課」です。これは欧米でもそうでした。つまり自殺というものは、やっぱり犯罪に限りなく近かったのですね。 英国では 1961 年まで自殺未遂者は警察に拘留されたという歴史が残っています。 自殺は犯罪であるとする悪しき認識の伝統が、日本でも残っていたというべきでしょう。それが 2000 年 代になると警察で自殺問題を扱う担当部署は「生活安全課」というのです。 やはり日本も自殺問題についての認識が深まったというか成熟してきたというか、そんな思いをしております。
警察庁と厚生労働省が出す自殺統計
私は率直に言って本当にほっとした
「みんながゲートキーパー」Suicide prevention is everybody’s business′
「いのちの電話」の始まりと日本社会… ほか
続きはこちらをご覧下さい→
人間の心の危機にかかわる
皆様こんにちは。斎藤でございます。お招きをいただきまして感謝をしております。
さて今日は、「電話相談で自殺は防げるのか」という、やや挑戦的なテーマを掲げましたけれども、「防げる」という言葉自体がどうも断定的になります。 あえて言えば「防げる自殺もあるけれども、防ぐことのできない自殺もある」と言い換えたほうが現実的です。これはネット相談についてもそうですね。 さらに、あまり電話かネットかというような選択をすべきではなく、その人にふさわしいメディアがあるべきだと、こういうことをまず申し上げたいと思います。
私どもの「いのちの電話」というのは、自殺予防という大きな目標があります。欧米でもやはり自殺予防ということが電話相談の大きな役割です。 もちろん電話相談は多彩ですから、いろいろな目的を持った電話相談があります。ただ電話相談というのは,普通の面接の相談に比べると,人間の心の危機にかかわる、 つまり危機を援助する役割としての比重が高いということですね。70 年代はじめ、私は米国であらゆる電話相談機関を回りましたけれども、そのころは自殺予防だけでなく、 レイプや虐待などあらゆる電話相談活動が拡大していました。その後日本でも最初はいのちの電話、そして青少年のための電話相談が各地で増えてまいりました。 これはいずれも危機介入的な性格を持っております。その中で英国の「サマリタンズ」は国際 的には伝統的な電話相談の最も特徴的な在り方といいましょうか、 危機介入的な電話相談を代表する組織であるといえるかと思います。
今日は最初にちょっと明るいニュースを
自殺の問題というのは胸がふさがれる話ですから、今日は最初にちょっと明るいニュースをお伝えしようと思います。実は今年は、14年間3万人の大台を切らなかった日本の自殺が、確実に 3 万人を切るということが明らかになりました。
「警察庁自殺統計」と皆さん検索してごらんになると、膨大なデータをダウンロードすることができます。全部で 50 ページ近いです。 今、年間の完全な統計を入手できるのは平成 23 年 度です。この警察庁の自殺統計というのは年に1回あるのですがある年統計の公表が、 年が 明けて、遅い場合は7月を過ぎていたこともありました。これではいけないということになり、 最近では警察庁が力を入れて、毎月公表しています。 これは自殺が多発する状況に対応して、 統計的にもすぐ公表すべきということになったのです。内閣府の中に自殺対策会議というのが ありますが,そこで自殺統計をもっと詳しく、 すぐ出すべきだという意見が数年前にありまして、最近は詳しい統計がすぐ出てくるようになりました。ちなみにこの自殺統計報告書は、警 察庁が1978年から出しているのですが、 以前はわずか10数ページでした。今は 50ページです。しかも自殺統計を作る警察庁の部局、皆さんご存知でしょうか、私が 10 年くらい前 まで毎年1回、そこに統計をもらいにゆきましたが、 その部署は、何と「防犯課」です。これは欧米でもそうでした。つまり自殺というものは、やっぱり犯罪に限りなく近かったのですね。 英国では 1961 年まで自殺未遂者は警察に拘留されたという歴史が残っています。 自殺は犯罪であるとする悪しき認識の伝統が、日本でも残っていたというべきでしょう。それが 2000 年 代になると警察で自殺問題を扱う担当部署は「生活安全課」というのです。 やはり日本も自殺問題についての認識が深まったというか成熟してきたというか、そんな思いをしております。
警察庁と厚生労働省が出す自殺統計
私は率直に言って本当にほっとした
「みんながゲートキーパー」Suicide prevention is everybody’s business′
「いのちの電話」の始まりと日本社会… ほか
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