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 このコラムを「万葉広場」と名付けました。
万葉集の名にあるように万葉とはよろずの言の葉を意味しています。 私たちが便利に使っている葉書にも葉の字が使われています。 戦国時代にタラヨウという木の葉の裏に文字を書き情報のやり取りをしたのが葉書の由来だそうです。
 「万葉広場」はいのちの電話の活動を推進している私たちが、日頃思っていること、 感じていること、心掛けていることなど、その一端を皆様に紹介する「言葉の広場」です。

コラム40 「貯筋の奨め」


貯筋イラスト
 駅や大型商業施設などのエスカレーターに長い列を作って人が並ぶお馴染みの光景。
健康に問題の無い人の身体的な楽の追及はどこまでいくのか。させるのか。

 以前はエスカレーターの長い列を見ても何とも思わなかったし、自身並んでもいた。
 老人ホームのボランティアを始めて、認識が変わった。
 お年寄りは一旦ホームに入居してしまうと、外出に同伴者が必要になったりすることで、かなり行動範囲が狭められてしまう傾向がある。出たい時に外に出られない状況があり、訪問すると「外の空気を感じられて、気分がガラッと変わるのよ」と、とても喜ばれる。
 ホーム内での暮らしをどう過ごすかで、認知機能の衰え、歩行困難への移行の速度の個人差は大きい。

 そんな中、昨年の8月に杖を頼りに入居された93歳の女性が、ここ数ヶ月杖無しで背筋を伸ばして歩かれている。以前はまだらだった認知機能もしっかりされて、10歳は若く見える。「毎日、1階から3階までの廊下を歩いて、天気がいい時は屋上の庭をお散歩するの」と仰る。
 筋力はいくつになっても鍛えることが出来るという実証を目の当たりにした。
 また、若い頃スポーツをやっていた人の身体機能も、老年期には物をいうのだろうと思う。 私と同年代の友人が、走れずに急ぎ足で歩いている私の側を、私とは気付かずに脱兎のごとく走り抜けて行くのを、唖然として見送ったことがある。若い頃、陸上競技をやっていたと知った。

 そんな訳で、最近は疲れがひどくなければ、なるべく階段を利用するようにしている。 若い人達がエスカレーターに並んでいるのを見ると、自然とある歌が頭の中で鳴り出す。

 「若者よ」
 若者よ 身体を鍛えておけ
 美しい心が逞しい身体にからくも 支えられる日がいつかは来る
 その日のために 身体を鍛えておけ 若者よ

 我々の先輩達が、歌声喫茶ブームの中で青春を謳歌して歌っていた、健全な青春を意識した青春歌謡の一つである。
 健康的な生活・老年期の溌溂とした生活を望むあらゆる年代に向けた応援歌といえるのではなかろうか。

 せめて、駅のホームへの昇降は階段を使っての貯筋をお奨めしたい。
 特に地下鉄の階段は私には最高の筋トレ場になっている。

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